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ジーン・ワルツ

単品での映画化は海堂さんのほかの作品との関連付けをしないでもいいから映画ならではの自己流展開があったこととか、設定の変更とか、起こりうることだと理解してたけど、残念なのは、お父さんの精子とお母さんの卵子が問題なくて、二人とも生殖能力があるにも関わらず、遺伝子のせいだかなんだかでうまく着床せずに子どもができないで不妊ということになってしまうケースがあるんですよ、というあの辺りの話がしっかりと描かれなかったことかなあ。原作読む気なくてもキャストの方々やテーマや何かが気になるって方も見てくれる可能性があるのが映画だと思うんだけど、そこでしっかりと描いてほしかったことはそこだなあと思っていたので、それだけは本当に残念。この本を読むまで自分が全く知らなかった知識だし、周りにも知らない人が多くて、エンタメの中に組み込んでもらうことで知ることだってできるんだなあと思ったから、あのシーンはほしかったなあというのが終わった時にまず最初に感じたことでした。
映画の曾根崎理恵は原作よりもまろやかな性格だったな。原作だと見ててすごくイライラする人だったけど。(マドンナ・ヴェルデでは更にイライラした。)妊婦さんが5人から4人になってたのは時間の都合上だと思うんだけど、妙高さんは油断ならない看護師って立場だった気がするんだけど、映画だと普通にいい人だったw甘利さん夫妻のシーンは本当に泣けて泣けてたまらなかった。甘利さんの夫の語るシーンとか特に。極北大の三枝久広のことも原作より強く描かれていたけど、それならばもっと日本のお産は世界の中でもものすごくレベルというか水準というかそういうものが高いけれど、でも救おうとしてこういう結果になることもある、決して100%安心ではない、ということを明確にしてもよかったかもな、とも思うんだけど。どうなんだろう。ただ、三枝久広の事件に関わる親子の映像はよかったね。なんか救われた。
ラスト、曾根崎理恵は双子ちゃんと山咲みどりと仲良く暮らしてそうな映像だったね。NHKマドンナ・ヴェルデはどんな展開だとしても曾根崎理恵と山咲みどりがああいう関係にはならないだろうな。