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追想五断章

追想五断章

おじの古書店で働く芳光。亡くなった父の小説5編を1編10万で探してほしいといわれ報酬に惹かれて依頼を受ける。可南子の父・参吾が書いた5編はどれもリドル・ストーリーとなっていて、その5編の小説の結末が1行記されていてそれが残っていた。
作中に参吾の作品も記されている。叶黒白の作品はどれも短いものでサッと読めるものだったけど、すっきりしないというか、事件になぞらえて書かれたものだったから決しておもしろおかしく楽しめるような作品ではなかったなあ。主人公の芳光自体が暗いトーンで描かれているので、作品全体がちょっと色彩が暗いような印象。ずっとじめっとした空気感っていうか。ラストで「アントワープの銃声」の真相や作品を残した意図、5編と対応するラストの1行など、全部が解明されるんだけど、あの結末を導き出したことで彼女は救われるのかどうか。最後までじわーっと暗い内容だったな。でも個人的には最後「そうなのか!」と納得したし、割とこの作品好きです。