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読了90

オーダーメイド殺人クラブ

オーダーメイド殺人クラブ

直木賞候補作。ツナグが吉川英治文学新人賞で、本日は大安なり山本周五郎賞候補。賞レースにノミネートされたり受賞した作品がいい作品だとは一概には言えないけど、賞レースに絡むとその作品を手に取る人が増えるという点では嬉しいなぁとも思う。
学内では友達に振り回され、ヒエラルキーを感じ、家では親ってわかってないと思い、自分の考えが正義、自分のセンスが全て、と思って生きてる。みんなはきっとこんなこと思ってないんだろうな、でもわたしはこういう観点で見てるよ思ってるよ感じてるよ、そういった思いを共有するのは、ヒエラルキーの中でも上位ではない、昆虫系の徳川。ショーグンJr.。主人公のアンは運動部のいい方の子というポジション。一応。彼といるところを見られたくないのに、心の中をさらけ出せる気がするのは彼だけで…。イタイけどでもどこかでは共感できる部分がほんのすこーしだけあるような気もして、ラストは本当にグサッとされた気がした。徳川に。徳川の話はいったいどこまで真実だったのか、徳川の気持ちも含めて謎だけど、でも他人を踏み込ませない領域に入れてしまった互いの存在がない中三〜東京に行くまでの4年間は彼と彼女に、どんな変化を与え、どこが変わらなかったんだろう。徳川がノートにかいた絵を思うとギュウウウウとなった。
全体的には中二という設定を活かした中二っぽい考え方や行動でアンを含めてみんなは生きている。いるいるこういう子、という子がたくさんいた。芹香みたいなタイプはた迷惑だけどいるよね。芹香だけじゃなくアンも好きになれないけど一番苦手なのは倖。芹香みたいにわかりやすい子の方がまだマシ。家と学校が自分の世界の全てで、そんな中でこっちにムカついたから無視、いつの間にかもとに戻って、次はあっちがムカついたから無視、みたいなことがまかり通って、誰もそれに文句が言えなくて…。こういう人間関係にはムカムカしてしまうし、読んでて疲れた。