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本日は大安なり

本日は大安なり

とある人気結婚式場で、とある大安の一日を描いた作品。帯だけ読むとすごくめでたい話なのかと思ってたけど違った。
主な登場人物は片方が結婚式を迎えた双子の妃美佳と鞠香。結婚するのは妹の妃美佳。プランナーの山井さん。おばさんの結婚式を阻止しようと奮闘する真空。秘密を新婦に伝えないまま結婚式当日を迎えた陸雄。それぞれが問題を抱えたまま大安のこの一日を迎えて、でもこの大安の一日で何かを掴んで前に進んでいく。大安の結局ラストはめでたいようなほんわかする終わり方でした。スロウハイツが大好きなわたしだけど、ツナグもすごく好きで、でもこれもすごく好きになった。辻村さん本当に好きだ。妃美佳と鞠香の話は湊さんっぽい心の中のグチャグチャした思いが絡まっていて、互いにわかってるようでわかってない理解しあえていない自己満な感じの二人。特に鞠香はお姉ちゃんだと自分のことを思ってるけど妹云々の感情を通して結局自分が一番大好きちゃんだよね。山井さんのエピソードは好きだな。岬さん予想通りの動きしてくれるし。鈴木陸雄は全てにおいて自分が一番悪いのにこうだからあいつが悪いって全て責任転嫁してて、ガツンとやられてスッキリした。真空は子どもの小さな胸でいっぱい考えたんだなあと思うとかわいくて胸が痛くて真空愛しすぎる。どの人たちも自分の話の結末は本人たちの思惑とは全く違うどんでん返しだけど、それは不幸なことではなくて幸せになれるどんでん返し。
他の辻村作品とのリンクは子どもたちは夜と遊ぶの狐塚と恭司が登場。月ちゃんは名前だけ。恭司相変わらずだなあ。東くんが狐塚と恭司の友達ってことは二人ともそんな年になっているわけで。まきちゃんとはどうなってるんだろう狐塚くん。