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読了043

Nのために

Nのために

湊さんの作品を読んでるとどの人もどこか屈折してるところがあってゾッとすることが多いんだけど、今まで読んだ3作はそれでもまだこえーなーってだけで終わってたけど、今回はそれにイライラとした気持ちがプラスされたような気持ちになる作品でした。
登場人物はとある事件に関わる人たちで全員「N」というイニシャルを持つ。最初に事件捜査の上ではこうなってます的なストーリーがあり、その後は亡くなった野口夫妻以外の4人がそれぞれが語ることにより事件の真相が明らかになる。最初の話はみんな意図的にどこか嘘をついているし、意図せずに間違った方向に1人で解釈してそれがまた誰かには嘘になっているような展開。全員どこかしら屈折してるというか。特に杉下西崎は子どもの頃の出来事にも関係してるんだろうけど。全員が互いの思ってることを全く理解していないのに、それが相手を思ってのことだったりと見当違いもいいとこで、でもそれが事件を更に複雑にしている…。本当に湊さんの作品を読むと一番怖いのは生きてる人間たちだなあと思います。